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敷引金-『高すぎなければ有効』の最高裁判決

今回は、直接的には相続とは関係ありませんが、相続税がかかる方々で賃貸用不動産を所有されている方もいらっしゃると思いますので・・。

 

敷引金とは・・・

 

お部屋を借りる時に『敷金』を支払うケースは多いと思います。

関東エリアでは、住居系の場合、家賃1~2か月分でしょうか。

敷引金は、敷金の一部について、退去時に返還しないというものです。

例えば、家賃10万円/月、敷金30万円、敷引金20万円。

この場合、退去時には20万円は返ってきません。

 

関西エリアでは良く見かけるようですが、関東エリアでは、事務所や店舗の賃貸であれば耳にしますが、住居系の賃貸ではあまり耳にしません。

 

今回の紛争は、9万6千円の家賃に対し、敷引金を18~34万円と定めた賃貸借契約において、借主が21万円の敷引金の返還を請求したものです。

 

一審:京都地裁、二審:大阪高裁、ともに借主側の主張を棄却していまして、この度、最高裁で改めて借主側が敗訴しました。

 

最高裁の結論は、『家賃の3.5倍の敷引金はOK』というものでした。

敷引金については、①消費者契約法上の問題、②信義則違反などの論点から、色々と議論されているようですが、今回の判決は最高裁の判決ということもあり、今後の賃貸借契約には少なからず影響を与えそうです。

 

平成3年、大正時代からの『借地法』『借家法』を改め、新法である『借地借家法』が成立してから、借主を過度に保護する姿勢から、もう少し貸主の所有権を保護しよう・・という方向へ流れています。

この度の最高裁の判決は、その時代の流れに沿ったものであると言えるかもしれません。

 

 貸主、借主、どちらの肩を持つ訳ではありませんが、こんな仕事を長く続けていますと、旧法の借地法・借家法は、そして普通借家は、かなり借主保護に偏っていると思う事がしばしばあります。

 

どこにでも移転できそうな事務所ですが、老朽化で耐震上も心配なので、オーナーが建替えたい・・・、そう思って退去をお願いしたら、20万円の家賃に対して、1億数千万の立退料を請求された現場も立ち会った事があります。

 

この借家人の請求は、40~60年分の家賃に相当する額です。

極端な話ですが、ここまでくると、所有権が侵害されているという思いにもなり、オーナーが可哀そうになります。

それでも退去を希望する場合は、オーナーは仕方なく係争に持ち込むしかありませんが、借家人が調整不能のようなつわものですと、最高裁判決まで、3年くらいかかるでしょうか・・・。

貸主だって、辛い思いをすることが結構あるんです。