· 

長男は家督相続の意識、他の兄弟は法定相続の意識

家督相続は、昭和22年5月3日の日本国憲法の施行をもって廃止されました。

これは、一家を統括する人の一存で、他の家族の権利が犠牲にされる恐れを回避する・・・という目的であったように思います。

それでも昭和22年以降、ひょっとしたら現在においても、『長男だから・・』という前置きで、権利や義務についての話しが進められることが多いように思います。

ちょうど昭和22年の前後に家督候補としての自覚を持っていた方は、それなりの我慢をしたり、義務を果たしたりしながら、次期家督としての権利を得る心構えをしていたところ、世の中は変わって、法定相続という仕組みが基本的概念として普及していった・・・、そう実感されるのではないでしょうか。

 

正に、現代においても、長男と他の兄弟姉妹との間における、潜在意識の差が、相続問題の根底に存在することが多いように思います。

長男や、長男でなくとも親の面倒をみてきたり、親の居住地からはあまり離れないように・・という意識で人生を送ってきた人達にとっては、恐らく、法定相続通りの配分というのは、平等ではないと感じているでしょうね。

それに対し、その他の兄弟姉妹は、法定相続による配分こそ、平等であると思っている方々が多いように感じます。

もっと具体的に申し上げれば、『俺は長男だから、色々と苦労してきた』という主張と、『長男、長男と言うけど、何も長男らしいことしてきてないでしょ?』という主張とが、声にして表に出る出ないは別にして、潜在的には必ずあるのではないでしょうか?

 

最初は言い争うつもりもなかったはずが、潜在意識としての価値観に差がある為、何かのきっかけで本心(潜在的な思い)が表に出てきてしまう事もあるでしょう。

ただ、たった一度でも、感情的な対立を発生してしまいますと、それを修復するのは、中々大変な事です。

このような対立が発生する前に、中立的な人間が、双方の意見を聞きながら、うまく潤滑剤のような働きをもって調整してくれると良いのですが、往々にして『仲の良い兄弟である我々において、争いになんかなるわけない』と思われる方が多いものですから、ご相談の多くは、揉め事が起きてしまった後のご相談が圧倒的に多いものです。                            

               

相続協議が必要になった場合、まずは、全くの第三者に自分の意見を聞いてもらい、自分の意見に正当性があるやなしやを、ほんの少し探ってみるのも事前作業としては大事な事ではないかと思っております。