平成23年度の税制改正により、相続税が増税されようとしています。
改正案で、最も大きな影響が出るであろうと考えられますのは、
基礎控除が40%カットされることです。
現時点での基礎控除は、
5000万円+1000万円×法定相続人の数
ですが、これが改正されますと
3000万円+600万円×法定相続人の数
ということになります。
この基礎控除の40%ダウンにおける影響は、後日改めて意見を述べようと思いますが、その前に・・・
『居住用の小規模宅地に対する評価軽減措置』について
これは、被相続人(死亡者)の居住用建物が建っている土地の場合、240㎡までの土地の相続評価が、80%も軽減される現行制度です。
ここで、とても注意しなければならない点は、相続人が、その建物に
①住んでいたか (死亡した被相続人と一緒に住んでいたか)
②住み続けるか (相続発生後、申告期限まで住み続けるか)
この2つの条件いかんによっては、80%の軽減はされません。
死亡した方の相続財産が『居住用建物』で、その土地が『240㎡まで』というだけで、この特例が利用できると思われている方が多いのですが、そうではありません。
もう少し詳しく申し上げますと
①被相続人(死亡者)と一緒に住んでいた親族であれば、その土地を申告期限(相続発生後10カ月)まで売却せずに住み続けること。
②一緒に住んでいなかった法定相続人は、相続発生の3年前まで、自分の所有する家、あるいは自分の配偶者が所有する家に住んでおらず(要するに貸家に住んでいるといこと)、且つ、申告期限まで売らないこと。
この条件に当てはまらない相続人については、平成22年3月までの税制では、80%ではないものの、50%の軽減がされていましたが、平成22年4月以降、この50%の軽減もなくなり、全く軽減措置がなくなってしまいました。
一般的に、相続財産の殆どが、被相続人が住んでいた居住用不動産であることが多く、この居住用の小規模宅地の軽減措置は、80%とか50%という、大きな軽減ができる特例ですので、相続税を支払うか支払わないか・・というレベルにおいて、大変重要な項目です。
税法は、
『相続税を軽減して欲しければ、親と一緒に住みなさいね』と言っているようにも聞こえます。